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【ケムリクサ】りんは一人の人間であるという考察

ケムリクサ, 考察 (65)


『ケムリクサ』が見事だと思ったのは、りんたち姉妹の出自を描いた後でも、りんが道具ではなく人間であることが自明であったことです。りんはりりの願いのために作られた道具ではなく、自分で好きを見つけ生きた人間だと。
『ケムリクサ』の姉妹は、その出自はりりの願いでしたけどね。この世界に生まれた彼女たちは、りりの願いに関係なく各々が自分の好きを見つけ、生きました。親と子が違う人間であるように、姉妹は人間として生を真っ当したのです。
『ケムリクサ』は記憶の葉を見たりんが「これがりりの記憶」と、自分の出自に関わるものの他人の思い出として理解し、「最近は記憶の葉を離してもおかしくなる」と言う場面は重要なのですよ。りんの気持ちはりりの複製ではないと明確に描いています。
たつき監督の作品はほんの小さなセリフや動きの中で、登場人物を尊厳ある生命として描こうとしたことがわかるのが好きですよ。作中で殊更に葛藤や否定の描写などなくとも、りんやかばんちゃんが、オリジナルの複製ではなく、一つの命として生まれ、自分で目的を見つけ生きたことは自明のはずです。
『けものフレンズ』も『ケムリクサ』も作中でかばんちゃんとサーバル、りんとわかばに「前世の因縁」とも言える壮大な出自は描いていますけどね。登場人物が出会い友人になったのは、何も前世の記憶が原因でないことは、旅の中で描ききったはずです。あえて作中で強調しなくとも受け手がわかります。