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【ケムリクサ】りょう・りく・りょく それぞれの哲学のプロファイル

ケムリクサ, 考察 (39)

哲学なんてわかん姉。
という話です。

今回は、論考というよりもコラム的な呟き。

『ケムリクサ』の裏姉妹、りょう・りく・りょくについて、それぞれが持っている哲学的傾向をプロファイルしつつ、創作上のキャラクターの掘り下げの重要性を考えます。
#ケムリクサ
#たつき監督
#irodoripic.twitter.com/UjZrkf82AV
りん・りつ・りなちゃんズに比べ、かなり個性的なイメージがある裏姉妹。

りょうは嗅覚、りくは触覚、りょくは視覚に特化していますが、それぞれの「好き」も違うので、自身の美学や哲学の持っている傾向が変わるのです。

特に、りょくがはっきり明言しています。 pic.twitter.com/3Gn7gEZE6P
彼女はこの世界の仕組みについて、文字を通して知りたがっています。

0.5話で「分からないことだらけってことは、これからたくさん覚えられるってこと」という台詞がありました。

りょくは、世界をまず懐疑する。
分かることと分からないことを分析し、明晰・判明することを重んじます。 pic.twitter.com/cFMVJdaV4K
これと少し違う方法で世界を把握するのが、姉のりくです。

0.8話での「手ぇ突っ込んでみねぇと、実際のとこ分かんねえしな」という台詞通り、触ることが第一。

りく姉は、まず事物に触る経験に基づき、それから冷気・湿気といった感覚を得ています。
世界把握は、あくまで経験によるという考えです。 pic.twitter.com/P81bm6hHGH
更に、長女のりょうは、嗅覚による判断をしています。

0.6話で「うんと遠くに、いっちょとんでもないのが」と語る通り、遠方への索敵能力に優れ、自分が勝てそうもないことまで見抜く。

彼女は、感覚的に先をとらえる、いわば先験的なことをして世界把握をしています。 pic.twitter.com/w9sJANlTZw
この3人の並びが、実に面白いのです。
というのも、荒っぽい区分ではありますが、

りょく=合理主義
りく=経験論
りょう=認識論

に属する考えをそれぞれ持っている。

特に17〜18世紀にかけての西洋哲学史では、この3つが大きな潮流でした。 pic.twitter.com/pE56KMBeYD
りょくが持っている合理主義は、デカルトやライプニッツ等に代表される「大陸合理主義」です。

特にデカルトが重要で、方法的懐疑によって「我思う、故に我在り」という真に至った。

「世界は分からないことだらけ」であることを前提に、基本的に懐疑から始めることがデカルト以降の哲学です。 pic.twitter.com/E5nGVaFFVK
一方、合理主義への批判として、りく姉のような「知性の前に、経験してみねぇと、実際のとこ分かんねえしな」という考えが生まれました。

ジョン・ロックやヒュームに代表される、「イギリス経験論」です。

人間は生まれつき、白紙状態から。
「知性は感覚的経験に基づく」ことを主張しました。 pic.twitter.com/0ZV7jmssi8
17世紀の2つのトレンドを受け、18世紀にはカントという知の巨人によって「ドイツ観念論」が誕生します。

カントは、認識の為の感性と悟性は「先験的(ア・プリオリ)」にあると言っています。

カントの哲学は一言では説明しきれませんが、りょう姉の嗅覚のように、広範に知の対象を広げました。 pic.twitter.com/4E9Lyy54dE
このように、裏姉妹と近代哲学との類似点を挙げることができる…という話では本来ありません。

そもそも、たつき監督がデカルトやカントを参照してキャラクターを作ったとは現段階で思えません。

大事なのは、「優れたキャラクターは、その行動原理が掘り下げられ、哲学まで感じられる」ことです。 pic.twitter.com/yzILz8OJpi
観客にとって、作品に登場するキャラクターを理解・共感出来ると思えるのは、行動原理に説得力がある時です。
作者はキャラクターにある種の美学・哲学を感じさせないといけない。

キャラクターの内面に強烈な哲学を見出した時、歴史上の哲学と比較することも可能でしょう。
 https://twitter.com/masamune_nike/status/1191361753541566465?s=19 
『ケムリクサ』をはじめ、irodoriの作品にはこうしたキャラクターの内面的強さがあります。

長編であれば尚更作り込まれていますが、0.x話のように短いシーンからでも感じとれる哲学がある。

しかもそれぞれの違いを比較すると、合理主義と経験論のように見えてくるほどの違いを生み出す。 pic.twitter.com/K4Y7oXaGcE
一人の人間=りりの感覚を分割し合った存在ですが、感覚が分かれるということは世界把握の方法も分かれ、それが内面や哲学にまで影響する。

キャラクター造型やストーリー進行のための設定だけの「感覚の違い」で済ませないのです。

たつき監督のこだわりは、内面への深い洞察で徹底されています。 pic.twitter.com/7Vr3n3hBNL
「感覚が違う者同士」から「それぞれの行動原理、哲学が違う者同士」にまでキャラクターを掘り下げること。

それが出来てから、躍動的なストーリーとなり、共感や感動を生む。

『ケムリクサ』が支持された理由は、哲学の感じられるキャラクターとその徹底に一端があったと言えるでしょう。 pic.twitter.com/vqk33D9dHW
以上!終わり!
みんみ解散!

りょう姉の下半身はキレイ
りんの下半身もキレイ
傾福さんの下半身もキレイ
へんたつの下半身もキレイ

すなわちirodoriキャラの下半身は全てキレイである(帰納法による証明完了) pic.twitter.com/CfpO7kHhkt