たつき監督作品の台詞回しに関する考察
たつき監督(irodori)の作品は、演出だけでなく、台詞回しにも注目してほしいという話です。
『けものフレンズ』と『ケムリクサ』を取り上げて論考します。
(ケムリクサに関しては序盤中盤のセリフ以外ネタバレはしません)
#けものフレンズ
#ケムリクサ
#たつき監督
#irodori
#ラッキービーストpic.twitter.com/XTcTHRVkE3
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 10:58:33 +0000 2019
まずは、けものフレンズ。ボスの「ここすき」シリーズから入ります。
「ボスの印象的な台詞は『3文字』『2文字』『4文字』『繰り返し』が多く含まれていること」
「4文字」の場合
・ワカッタ
・マカセテ
・ダメダヨ
・アワワワ
・コレダヨ
・イイカナ
・ヨロシク
・イコウカ pic.twitter.com/EgN0IMcpkN
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 10:59:38 +0000 2019
3文字、2文字、4文字かつ繰り返しの場合
・検索中…検索中…
・コッチ、コッチ
・コレダヨ、コレダヨ
・除草…除草…
・注意、注意
以前、ニコ動の解説兄貴の動画にもあったと思いますが、
1期の台詞は全般に、声に出すと大変リズミカルです。
特にボスの台詞が特徴的です。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:00:20 +0000 2019
(聞き取りやすいのは、声優の内田彩さんの演技によるところもあります。本当にプロフェッショナルで尊敬します)
子どもにも分かりやすいのもありますが、俳句や短歌に代表される「5と7」のリズムに近いのです。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:00:48 +0000 2019
「5と7」をさらに分解すると、「3」「2」「4」で、リズムが決まります。
超有名な俳句で実証します。
(2+3)柿食ヘば
(3+4)鐘が鳴るなり
(3)法隆寺 ←ここは「ほう」「りゅう」「じ」で読むので事実上3文字のリズム
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:01:19 +0000 2019
ラッキービーストはパーク内のガイドロボなので、「説明を聞いていて飽きず、楽しめる」ことが大事です。
ただ、「子ども向けだから解説は簡単にしよう」じゃなくて、必要な情報は入れたうえで、しかも「ボス自身が楽しく、興味を持ってもらいたい」と感じさせる台詞回しにしているんです。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:01:45 +0000 2019
例えば、2話の序盤。
「アレは、オセロットだね。サーバルキャットと同じ、ネコ科なんだ。
夜行性だから、日中は、木の上や、茂みで、休むんだって。木登りも、上手なんだね」
読点(、のマーク)を多く入れて、3・2・4のリズムが感じられるようにしました。
皆さんも音読してみてほしいです。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:02:20 +0000 2019
ここでボスは、動物の生態を
「〜なんだ(断定表現)」
「〜だって(伝聞表現)」
「〜なんだね(感想および推測表現)」
の3つに分けられる構成で話しています。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:02:57 +0000 2019
断定表現だけでは、学校の先生に教えられるような冷たい印象を与えますが、推測や伝聞表現が入ることで
「ボクが調べたところ、こういうことが分かったよ。聞いてくれるかな」という友人のような印象になります。
共感を持って聞いてあげられるのです。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:03:28 +0000 2019
そのうえで、リズミカルな台詞回しにするのは結構難しいです。
かなり推敲を重ねたうえで、同時にアニメーションの動きも考えておかなければなりません。
たつき監督が、けものフレンズを制作した際にVコンテを作っていた話は有名ですが、普通のクリエイターはVコンテ作りだけでも大変です。すごい
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:07:13 +0000 2019
たつき監督の作品は、ケムリクサでも「3」「2」「4」のリズムに溢れています。
あまりネタバレしたくないのもあるのですが、有名どころでは
・(3+4)めっさ気になるー!
・(4+2)尊いにゃあ
・(2+2)ひょいパク!
・(3+4+2)ワカバ タスカル スキ
・(4+3+4+3)姉さんの好きは、私たちの大事だ pic.twitter.com/B1YD0r6pKV
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:08:04 +0000 2019
(文字数ではなく、声に出した時、前文と後文のリズムが一致する。
姉さん⇔私たち、好き⇔大事の対応もある)
この辺りですね。
(シロに関しては、表示される文字はほとんど「3」「2」「4」です)
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:08:48 +0000 2019
特に「姉さんの好きは、私たちの大事だ」は最高です。
『声に出して読みたいケムリクサ』という本を作るなら、帯に載せるべき台詞だと思います。
もう一つだけ、最高の台詞が、本編最後にあるんですが…言えません。
一応、「3+3のセリフ」とだけ書きます。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:11:09 +0000 2019
ここで気になるのは、たつき監督は、常に脚本を音読して作っているんでしょうか?
あるいは口述筆記が先でしょうか?
いずれにせよ、たつき監督の創作物は常に「書き物」「描き物」ではなく「聞く物」「見る物」という意識が先にあります。
聞いていて気持ちがいい、名人落語のような印象も持ちます
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:11:57 +0000 2019
アニメーションというと、手書きから始まった「平面→立体感」の創作でありますが、たつき監督は最初から「立体感」です。
しかも、キャラクター・シナリオ・台詞回し・画面作り・音響効果…すべてにおいて、です。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:12:27 +0000 2019
重層的なので、「設定はやたら凝ってるけど本編に活かされてない作品」にはならない。
ミルフィーユのように何層も重ねている創作なんです。
どこかの層が厚すぎたり薄すぎたりしたら、ミルフィーユは崩れます。
(ちなみにミルフィーユはフランス語で「千枚の葉」の意味らしい…センマイクサ?)
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:13:05 +0000 2019
創作することがある人は、特にあるあるでしょうけど、
「自分の考えた設定や台詞回しを見てほしい・聞いてほしい」が先にあって、「それは本当に見る人・聞く人にとって楽しめるか?」という視点が抜け落ちてしまいます。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:13:47 +0000 2019
そんな時、「自分が書いたものを音読する」
のは、結構有効な手段だと思いました。
書いたものは視覚情報が主ですが、耳で聞いた時に違和感があれば、やはりそれは「何かが足りない」のでしょう。
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:14:21 +0000 2019
作品は一つの層で出来ている訳ではないですから、重層構造を考えて、視覚も聴覚も満足できるものを目指す。
至難の業ですが、たつき監督及びirodoriメンバーの皆さんが創作で実現できていることですから、大いにリスペクトし、学ぶべきことは多いと思います!
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:15:13 +0000 2019
長くなりましたが、結論。
・ボスの台詞回しは「3」「2」「4」「繰り返し」が多く、心地良い
・簡単そうに聞こえるボスの解説でも、リズミカルかつ推敲を重ねた文章になっている
・ケムリクサにおいてもリズミカルな台詞回しは変わらないので、たつき監督の作風は一貫している
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:15:47 +0000 2019
・創作者が陥りがちな独りよがりを抑えるには、自作品の音読は有効な手段。
・作品は重層構造が望ましい。どこか一つが突出しているより、バランス良くまとめる。
以上!終わり!
こうざん登頂!解散!
#けものフレンズ
#ケムリクサ
#たつき監督
#ラッキービースト
— (●ω・) (@masamune_nike)Mon Sep 09 11:16:50 +0000 2019
動画ではないが最近見付けた凄い冷奴
たつき監督(irodori)の作品は、演出だけでなく、台詞回しにも注目してほしいという話です。
— (●ω・) (@masamune_nike) 2019年9月9日
『けものフレンズ』と『ケムリクサ』を取り上げて論考します。
(ケムリクサに関しては序盤中盤のセリフ以外ネタバレはしません)#けものフレンズ#ケムリクサ#たつき監督#irodori#ラッキービーストpic.twitter.com/XTcTHRVkE3
参考になる
これで俺もトーク上手やな
たつき「そうだったんや…」
監督も初見だもんな
コメント
初見監督ホント草
仮に無意識にやってたとしてもすごい
もしたつき監督が脚本だけ担当したらどうなるのか気になる
まあ脚本を描きながらアニメ作ってる状態だから現実には不可能っぽいけど
演出も他人がやったら別物になりそうだしなぁ
たつき監督ってけものフレンズやケムリクサを知ってるのかな?
※3
できない
だって、その世界を見に行ってるから音も映像もセットだもの
そこまで計算されていたのか!?
けもフレ1期のセリフの語感の良さはこの考察動画
【けもフレ2】アライさん違和感の謎【10話】
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34846553
を見たらよくわかるからまだ見てない人は見よう
さすが京都人
(3)法隆寺 ←ここは「ほう」「りゅう」「じ」で読むので事実上3文字のリズム
これ見て脳内に「電」「光」「パンチ」って流れたジャガーマン視聴者はわたしです
チガウヨ
ナカノヒト ソンナコトナド カンガエナイ
ナ
紹介できない3+3のセリフはあれやろなぁ(柔らかい顔)
創作時における音読の効果は面白そう。実際の音にしてみることで客観的に感じられるようになるのかしら?
「好きなことして 楽しく生きて」も七七調
ケムリクサのもう一つの最高の台詞ってなんだろう・・・
ふーん、エッチじゃん
フフ…背ッ●ス!
みんなキャラ付けは決まったみたいだシュビドゥバ☆
候補が多すぎるわ
※6
その世界を見に行っているという意味では、たしかに「初見監督」なんだよな
……普通はそういう創り方をしない/できないというだけで
無意識だから本人も驚いてるぞ
※12
次回作で忙しいんじゃない?
ケムリクサはひと段落ついた訳だし
※15
あの人の創作本当好きだ!
※6
さらに言うとそれをうまく聞き出して実装する伊佐さんゆっこさんがいないと
形にならない
※16
その見に行った世界を「お客さんが理解できるギリギリ」まで削って出してくるから、セリフもギリギリまで削ってるんだと思う
お客さんを信頼してるのが伝わってくる
早口よく分からないのナ…(り並感)
※12
彼はもう次の作品の事でいっぱいいっぱい何じゃないかな
作品を作るのも大変だが、作れる環境(予算やパートナーの調整)を
整えるのもとてつもなく大変だと思う
※20
監督が「俺そんな事いうたっけ?」だからなw
確かに台詞の語感良いよね
※15
どれもほんへじゃ言ってないっつってんだルルォ!?
「おいしそうにゃ いただくにゃ」も加え入れろ~(豹変)
サーバル(3)
サーバルちゃん(4)
かばん(2)
かばんちゃん(3)
ボス(2)
ラッキーさん(4)
アライさん(4)
フェネック(3)
レギュラー陣の互いの呼び方が2・3・4のリズムだから通して聞いててストレス無いのか
逆に言うとアライグマさん(6)みたいなのがずっと続くようだと小さい違和感が蓄積していくのかな
こういうのを見ると、ああ日本人でよかったと思う
他の言葉のリズムも面白いけど、やっぱり日本語のリズムが好きだわ
台詞回しがすっごいのほんと同意
個人的にたつき監督の一番凄い所って一言、二言でキャラを引き立たせる描写と台詞回しの技術だと思う
8話のシロ達やりりとか登場時間からは考えられないほどキャラが立ってるし
けもフレとかほぼすべてのキャラクターが1話未満の登場なのに
その短い時間でキャラクターに生命を吹き込んで視聴者を引きつけてしまうのめっさ凄い
あれ計算ずくなのか天然の才なのかどっちの割合が強く作られてるんだろう?
拍子とか呼吸、なんだろなきっと。実際に言ってみても聞いても心地いい。
『声に出して読みたいケムリクサ』
欲しい
※29
カピバラさんはその極地だと思う
※32
「何だよぅ!あっち行ってよぅ!」だけで人気キャラになったミナミコアリクイとかな
ポーズと顔とついでに尻尾のミスは隠す気配りっぷり
こういう考察を目にするたびに、なんかアハ体験的な感覚を覚えていろいろ楽しくなるんだわ
計算無しで作っているとは思えないがもし自然とやり通しているだけなら、それこそ天才じゃないのか。
※12
ファンは一つの作品にいつまでも情熱傾けて
制作側にも同じ熱でいつまでも一緒に付き合ってほしいと思うだろうけど
一通りイベントもおわったからね
ファンが勝手に楽しめるほど成功したから手を放したのさ
ツイ見ればわかるけど次の推しをがんばって広報してるじゃん
昔は一つのヒット作に社運をかけてそれだけで戦い抜くPCソフトメーカーもあったけど
うーん
これは流石に日本語が持ってる
モーラのシステムのことだと思うんだけどなあ
これが、たつき学か
監督が感覚でやってることを理論化してるみたいな感じだけど、こういうの面白いのでガンガンやってほしい
名言として広まるセリフが多いのも、言いやすい・言いたくなる・聞きやすい・聞いて楽しくなるっていう感じがあるからなのかな
「やれよ(3文字)」結構好き
子供でも夢中になりやすい理由ってこういうところなんだろうなあ
天才のそれ、たっさん
たつき 寝ろ!
ジャガー ガチ働き者
※37
そうやで。その力をうまいこと生かしてるってお話やな。
まーだっかなー
まーだっかなー
ちらっ
このセリフもまさにって感じ
※37
実際にこれを意識しているかは別としてirodori作品の台詞は印象に残るというか
復唱したくなるようなものが多いのは事実だしやっぱりなにか共通する何かはあるのだと思う
これはすごい着眼点
たつき監督は自分がほぼ無意識下に作り上げたい世界に没入して俯瞰で見てそうなんだよな・・・天才にしかわからん感覚
だからキャラが作者の都合ではなく皆、本当の人格があるかのように動く
想像もできなさそうな世界もつくれる
初見監督になっちゃうのもそれだからだと思う
※37
このモーラとかいうの調べたけどよく分からん。
あと※37が何を言わんとしてるのかも分からん。
※15
くっさ!!鼻もげるナ!!
世の中には必ず音読して確認する作家とか、ページの埋まり具合いや余白空間を意識して言葉を調整・言い換えする作家なんかもいるし(単行本と文庫本で変えたり)、プロの仕事ってわりとこだわりに満ちてるものだと思う。
漫画家でも黒い服のシワを描くときに全部ベタ塗ったあとでホワイトで描く人と、その部分を残してベタ塗る人といるし。
たつき監督のとげ抜きを見たとき、言い方にやっぱりこだわってるんだなと思ったよ。
監督忘れてそう
イコウカ
私はこれだけで涙腺がダメです
※49
モーラは一般的に言われるところの「音節」みたいなもの。「拍」というほうが正確らしい。なにか言いながら声の一区切りごとに手を叩いてみたとして、その拍手1回が1モーラって感じか。モーラという用語を使って七五調を説明すると「7モーラと5モーラの言葉の組み合わせ」となるだろうか。ちなみに当然日本語だけに当てはまる概念ではなく言語一般の概念。
たぶん ※37 は記事を見て日本語の音韻構造(?)の話だと解釈したものじゃないかしら。日本語でしゃべる・書くなら全部そうなるじゃん、みたいな?
感覚的に『これが出来る』&『必要なことを知っている』が重要なんだと思う。
特に後者。
セリフの切り方がすごい
2塊までに抑えてるやばい
監督が世界に見に行ってるから「立体感」を持ってるのは話で聞いたけど、
※20の御指摘通り、irodori組の聞き上手がいないと表現できないよなぁ
まぁ、たつきちゃんはカメレオン飼ってるけど、みんなも飼ってるから面白くないやろ
みたいになってるから、よく考えたら聞き上手は必須だな
※27
アライさんとは別個体の謎の「グマさん」が私の脳裏に浮かんでしまった
サンドスターを空中で洗い出してなんか特殊能力使えそう
プレゼンしてると解ることだけど
こちらが言葉を発してから、相手が理解するまでの時間
これが短ければ短いほど成功率があがる
(または、繰り返すことで相手が理解する余裕を持たせる)
その言葉選ぶはマジでセンスが問われる
小説や漫画では描けない良さを出してるよなぁ
アニメであることを最大限に生かしている
事あるごとにそれを認識させられて脱帽する
第二の松尾芭蕉になれるかもしれない
「寝ろ」「ハイ」
たつき「あ、ほんまや。知らんかった」
主人公声優の声をマスコットにも担当させるのも何か意味があるのかな
※61
そこ水曜どうでしょうみたいで好き
※43
やめて差し上げろ
※63
マスコットと主人公格が実は近しい存在である事を暗に示してるとか?
てかよく気付いたな
2のアライさんの演技が変だったのも、声優の演技力の問題よりも、字数の多いセリフを詰め込みまくった結果によるものと考察してる人いたな
たつきそこまで考えてた
じゃあ、いこうか
この台詞の気持ちよさ
「この"手持ち"で幹を見つけ、倒す」(#7)
「判った、おまえらの"目線"で動いてみよう」(けもフレ1、#12)
このような"言葉"を使うのも(たつき)って感じがするナ。
※61
昔は「寝ろ」といえば
「眠れません……」だったのだが
(水着回)
※直球の下ネタは控えるようお願いします。